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01
PROJECT
STORY
ニッケル粉末・ペースト事業

エレクトロニクス界を
川上から支えている誇りと責任
揺るぎないチームワークで、
進化し続ける主力製品を生産

生活を豊かにするテクノロジーの実現に不可欠な電子部品。
その電子部品の極小化と高性能化を陰ながら支えているのが昭栄化学工業が製造する電子材料、ニッケル粉末・ニッケルペーストだ。世界シェア約40%を誇る、誰もが認める昭栄化学工業の主力製品は様々なチャレンジを経て生み出され、日々進化し続けている。

昭栄化学工業の屋台骨であるニッケル事業にそれぞれ異なる立場から携わっている社員3名に自社の強みやニッケル事業の展望を語ってもらった。

History of Innovation

1991

「噴霧熱分解法」での量産化に成功

実験室から製造ラインへ。
少量しか作れなかった製法を量産化可能な独自の新技術として昇華。

1997

時代はパラジウムからニッケルに

技術革命で従来使用されていたパラジウムよりも圧倒的に安価なニッケルを使用したセラミックコンデンサが登場。
ニッケル製造に乗り遅れていた当社は強烈な巻き返しが必要になる。

2002

噴霧熱分解法をさらに進化させる

噴霧熱分解法を応用した「固体噴霧熱分解法」によるニッケル粉末の製造をスタート。

2007

超微細ニッケル粉末の製造開始

PVD法により粒径数ナノメートル(nm)の粉末製造を実現。 さらなる微細化へ向け、検証を重ねる。

Project Member

F.H
F.H 生産部 高専卒 物質工学科
2010年度 新卒入社

現在はニッケル粉末製造を行う部署で工程・装置及び製造方法の改善に取り組む。カナダの子会社への出向も経験。出向先は当時40人程度の会社だったが数十カ国ものルーツを持つ現地従業員との協業で自身の世界・価値観が広がったという。

H.I
H.I 開発部 大学院卒(博士) 理学研究科
2001年度 新卒入社

噴霧熱分解法を用いてのニッケル粉末製造をプロセスから学び、J法という新製法による原材料改良にも従事。さらにはPVD法による微粒子粉末増産と国内工場へのPVD法導入の目的で単身カナダへ渡り、業績拡大に貢献した。現在も開発部にて新たな製法導入や基礎技術開発に取り組む。

T.I
T.I 技術部 大学院卒(博士) 地球惑星化学科
2014年度 新卒入社

入社後2年間は粉末技術開発をメインに担当。2016年からは技術部にてニッケルペーストを担当。生産部と連絡を密に取り合い、顧客である電子部品メーカーの要望に応える製品を提供するため、試行錯誤の日々を送っている。

Project Story

持てる技術を結集して、
多様なニーズにワンストップで対応

市場をけん引する昭栄化学工業のニッケル電子材料ですが
その優位性、昭栄化学工業の強みについて詳しく教えてください。

T.I

T.I: スマートフォンに搭載されている積層セラミックコンデンサ(以下、MLCC)に当社の電子材料が使われています。スマートフォンの小さな本体には、約1,000個ものMLCCが入っています。スマートフォンの小型化・高機能化により、年々搭載される部品点数は増加しており、また小型化の加速によりMLCC製造に必要とされるニッケル粉末粒径にも細かさが求められています。

※MLCC…Multi Layer Ceramic Capacitor(積層セラミックコンデンサ)の略でスマホ、パソコンなどあらゆる電子機器に不可欠な部品

電子部品の製造は電子材料の精度が鍵になります。そのため、お客様である電子部品メーカーからは「より細かく、より均一な粉末を。さらに、微粉末中に含まれる大きな粒子を1つでも多く減らして欲しい」と要望されています。当社は分級やペースト化の段階において、粉末中に含まれる大きな粒子を取り除く技術、発見する技術レベルが高く、厳密に管理しているため高品質な製品としてお客様からご好評をいただいています。

※製造した粉末を大きさごとに分ける工程
H.I

H.I: 金属粉末と、金属ペースト、その両方を自前の技術で自社生産していることが当社の強み。他のペーストメーカーにおいても、粉末から一貫して製造したいという考えはあると思いますが、これから事業を始めようとすると、多額の設備投資がネックになります。当社の場合は元々粉末製造からそれをもとにしたペースト製造という両方に取り組んでまいりましたので、それぞれに膨大な知見もあります。当社の技術部がやっているような、お客様のかゆいところに手が届く的確なペースト設計というものを、その原料となる粉末の段階から改善でき、それをペーストとして提供できるのが最大の利点。お客様の声を粉末の製造現場までフィードバックできます。

F.H

F.H: 様々な領域でIoTが進むにつれて、多くの電子部品が搭載されますので、それに伴い必要な電子材料も増えます。生産部としては注文量、生産量の増加に対応しながら、製品の突発的な受注や装置トラブルにもフレキシブルに策を講じる〈より強い生産部〉の構築を目指しています。当社では、粉末からペーストまで一貫して自社製造しているため、万一お客様からクレームがあった場合でも、関連部署と連携して原因を調査し、速やかに再発防止のアクションを起こせるのも優位な点だと思います。

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海外の関係会社とも連携
PVD技術の導入で活動領域はナノ分野へ

電子部品の小型化でPVD法での製造が増加しているそうですが
PVD導入に際してのお話しなど、海外拠点とのエピソードを教えてください

H.I

H.I: PVD法では他の製法と比較してより細かな粒径の粉末を製造することができます。お客様の要望に応じてPVD法とその他の製法を使い分けています。PVD法は、超微細なナノサイズ粒子の製造技術であり、この卓越したPVD技術を持つカナダの会社との協業に着目し、2005年からコンタクトをとっていました。しかし、最初は言語の壁もあってなかなか技術の話をしてもらえず、関係構築に苦労しました。

その後、2006年に単身カナダの会社に渡りましたが、当初は外国から来た社外の人間ということもあり、なかなか馴染めず、受け入れてもらえませんでした。そんななか、私は時間を見つけては現場を整理整頓するようにしており、自然と現場内のどこに何があるかを把握できるようになっていました。あるとき、このカナダの会社の上層部の方が自ら現場作業をされて困っていた際に、必要なものをサッと渡して、私が助けに入ったことがあり、それがきっかけで現場の人たちだけでなく、上層部の方々との距離も一気に縮まって信頼を得ることができました。

カナダで特に印象に残っている仕事は何ですか。

H.I

H.I: 私は元々機械の知識があったわけではないのですが、カナダの現場でかなり磨かれました。すでにあるPVD装置1台に加え、当社の主導で新たに2号機を設置することになり、装置の設置から製造立ち上げまでのすべてをやらせてもらいました。その経験を生かして導入した3号機に関しては「自分で立ち上げた」と心からの自信を持って言えます。カナダの会社の設備担当者と2人で現場を軌道に乗せ、月産目標の4倍もの生産を実現し、製品も順調に売れました。

F.H

F.H: 私は2年半ほどカナダ出向になり、2021年に帰国しました。カナダでは分級工程に携わりました。
分級はナノレベルの粒子を大きさごとに分別する工程で非常に繊細な作業なのですが、当時のカナダの子会社ではまだ稼働経験の浅い設備で、精度の向上が課題となっていました。

私は鳥栖において分級工程での勤務経験があったため、この分級工程についてカナダの現地の従業員に指揮・指導を行いながら、逆に彼らからはPVD法を教わり、覚えるのに必死でした。カナダで製造上の問題が起きた際は、鳥栖事業所と情報交換することもあり、その際は私がその間に入って問題解決にあたることもありました。

H.I

H.I: 向こうの人は遠慮なくはっきりものを言う。責任感があるからものすごく熱いですね。製品や品質について、本気でケンカしたことが何度もありました。
ただ、本気でケンカしていても、仕事が終わると「さぁ、飲みに行こうか」って。公私の切り替えが早い人が多いので、気持ちがよかったです。

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いかに新しい価値を提供できるか
安定した生産と品質、そして果敢な挑戦

製品も事業もニーズに即した変化が求められると思います。
時代の潮流や今後の展望、ご自身が取り組みたいことについて教えてください。

F.H

F.H: 同じ製品を同じ方法、同じ価格で作っているだけだと、やがてはマーケットから取り残されてしまいます。人手をかけず、コストをかけず、高品質の製品を作るため、工程改善は常に必要とされます。とは言え、生産現場では装置トラブルが起こることもありますし、同じように作っていても微妙な差が生じたりすることもあります。先ほどと逆の言い方になりますが、生産は同じものを同じ方法で、安定して作る。そのことに尽きます。実際にはこれが大変難しいことなのですが。

当社は少数精鋭を掲げている会社ですから、今後も大きく変わらない人数で、大きく増える生産量に対応することになります。そのためには製造工程の改善の推進が不可欠です。これに向けては、改善への取り組みについてのバックアップを惜しまない会社なのでやりやすく、やりがいもあります。

T.I

T.I: どのお客様も「次はこういうMLCCを作りたい」というのを明確にお持ちなので、「昭栄化学工業さんのおかげでこれができましたよ」と言っていただける製品を作っていくことが目標です。F.Hさんも言っていましたが、コストの部分は生産部だけの仕事ではなく、技術的に新しいものも必要になるので、技術部としては、そこに一石を投じたいと思います。

H.I

H.I: さらに粒子を細かくする、同じ特性でコストダウンを実現する。それだけで新しい価値になります。また、現行と同じものをどれだけCo2を削減して作れるかということをふまえて材料設計してほしい、というような依頼も寄せられています。顧客や時代のニーズに応える変化は常に必要です。粒子の微細化、コストや材料設計の見直し。いずれも立派なニッケル事業の「新製品」だと言えます。

担当業務については、私は開発部において、劇的にニッケル製品が変わるというタイミングを何度か経験していますので、それを生かして次のステップへと進めて、原材料の内製やニッケル製品の製造方法の改良を成功させたいです。従来と異なる手法で、いろいろなものを製造できないか検討中です。決められたことを決められた通りやることが苦手な自分に、自由に考えさせてくれる会社と周囲の人たちに感謝しています。

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